婚姻費用とは
婚姻費用の額について
婚姻費用の支払の始期と終期
婚姻費用分担請求の注意点
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1.婚姻費用の金額
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婚姻費用は、多くの場合、算定表をもとに決まります。
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しかし、以下のようなケースでは、表に従って機械的に婚姻費用の金額を決めることができません。
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未成年の子どもが4人以上いるケース
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総収入(給与)が算定表の上限(2000万円)を超えるケース
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一方配偶者が自宅を出て行き、他方配偶者が自宅に住み続けている場合で、一方配偶者が現在も住宅ローンを支払っているケース
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未成年の子どもが複数おり、夫と妻がそれぞれ子どもを監護しているケース
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また、例えば、一方に収入がないケース(例えば専業主婦(主夫)の場合)では、算定表上の総収入を「0」として扱うのが原則ですが、例外的に潜在的稼働能力(働こうと思えば働ける能力)があるものとして、総収入を推定して婚姻費用を算出することもあります。
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したがって、算定表だけで機械的に算出される金額よりも、個別具体的な要素によって金額が増減されることがありますので、そもそも算定表の金額で決めることが妥当なのかについて、弁護士に相談するメリットがあります。
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2.離婚との関係
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相手方がなかなか簡単に離婚に応じてくれない場合、婚姻費用を確実に決めておくことが離婚の交渉をうまく運ばせる一つの武器になります。
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婚姻費用は、配偶者と未成年の子どもの生活費です。一方、養育費は、配偶者の生活費は含まれず、単純に子どものための費用です。そのため、婚姻費用の方が養育費より高額です。
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したがって、迅速に適正な金額で婚姻費用を決めることで、相手方に対し、このまま婚姻費用を毎月支払い続けるのであれば、早く離婚して養育費に切り替えた方がいいのではないかと思わせることで、離婚調停を無理に引き延ばすことを抑制する効果を得られることがあります。
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弁護士に相談をすることで、婚姻費用分担調停と併行して離婚調停を申し立てる場合、離婚調停と婚姻費用分担調停を一体的に考え、交渉をうまく運ぶ道筋を検討することができます。
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3.調停委員
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婚姻費用分担調停では、2名の調停委員が双方の間に入り、話し合いを仕切りますが、調停委員は、一方の味方をすることはできません。また、必ずしも法律の専門的な知識を有していない場合も多いです。
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さらに、弁護士が代理人として就いていない場合、当事者双方の主張に金額の開きがあるにもかかわらず、裁判官が双方の主張の間をとり、「調停に代わる審判」という方法で調停を決着させてしまうことも散見されます。
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弁護士に相談することで、調停委員の仕切りが妥当なのか否かも判断できる場合があります。